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日本通訳翻訳学会関西支部第30回例会のお知らせ [関西支部]

日本通訳翻訳学会関西支部第30回例会を以下の要領で開催します。皆様、ふるってご参加ください。 

【日時】 2012年7月28日(土)15:00~17:30

【場所】 西宮市大学交流センター(阪急西宮北口駅北改札口を出て右手、隣接の「ACTA西宮」東館6階) 

【発表者】孫若聖(神戸大学国際文化学研究科研究生)

【題目】モラエス『日本精神』の日本語訳に見るイデオロギーの影響

【要旨】内乱と不景気のポルトガルから、激変期の日本に来たモラエス(1854-1959)は、30年余り日本に住み、日本について数多くの作品をポルトガル語で出版した。そのうち、1925年の『日本精神』は彼の最後の著で、自らの日本人に対する研究のまとめである。『日本精神』は出版したのち、5回日本語に翻訳され、そのうちの4回をモラエスの知人である花野富蔵が翻訳している。本論は、花野が翻訳した最初の1935年版と、最後の1969年版を取り上げ、この中の第三章「宗教」(14ページ)、第四章「歴史」(10ページ)、第六章「種族生活」(12ページ)と第七章「国家生活」(8ページ)、あわせて44ページの内容を分析材料にして、イデオロギーがいかに翻訳に影響を与えるかという視座から、比較研究のケーススタディを試みる。比較分析の重心として、それぞれ異なるイデオロギー的背景において作成された二つのTTで、語彙表現上どのような変化と差異が見られるかという点に注目する 比較研究した結果、民主的なイデオロギーで訳された69版のTTにおいて、イデオロギーの影響を受けた語彙は戦前のファシズムのイデオロギーの下で産出されたTT分量的に劣らないことが判明した。これは、イデオロギーが絶対化した時期に、翻訳がイデオロギーから受ける影響はそうでない時期より深刻であるという一般的な認識への再検討を喚起することになるのではないか。 

【発表者】藤島京子(2012年3月神戸女学院大學大学院修士課程修了)

【題目】Enhancing communications capacities for UN peace operations 国連平和維持活動におけるコミュニケーションと現地通訳者をとりまく問題

【要旨】「近年の国連平和維持活動(peacekeeping operations: PKO)については、停戦監視など非介入的な任務が中心であった伝統的PKOとは異なり、PKO部隊による一般市民の保護や、生まれたばかりで脆弱な平和の安定化をめざす平和構築活動など、幅広い任務が期待されるようになっている。日本についても、ハイチ(MINUSTAH)に続き南スーダン(UNMISS)など、このような「積極的平和維持(robust peacekeeping)」への自衛隊の参加はここ数年増加傾向にある。このような新世代PKOの特徴は、一般市民やNGOを含む人道保護活動に従事する要員の保護任務のために限定的な武器の使用を有することと、紛争後の平和構築への「触媒的な」役割を担う“Multi-dimensional” な側面 を持つことである。アフリカなどで内戦が頻発する今日、今後も現地密着型のPKOが増えると考えられる。新世代PKOの登場により、PKO活動を支援する通訳の需要は飛躍的に拡大した。この一例として、現地住民とPKO要員の間で共通言語を持たない場合にコミュニケーションの欠かせぬ橋渡しとなる現地雇用の通訳者の役割を挙げることができよう。彼らはLanguage AssistantLA)とも呼ばれるが、通訳の専門的な訓練を受けていない場合がほとんどである。また、通訳者の問題のみならず、紛争下(後)に特有のさまざまな環境がコミュニケーションそのものの阻害要因となることもある。 国連の掲げる「保護する責任」および要員の安全確保を念頭においた効果的なコミュニケーションのためには、通訳者のスキル向上に加え、紛争地域を取り巻くさまざまな問題を考慮に入れた包括的な取り組みが必要となろう。 

【参加費】 会員:無料  非会員:1,000円(学生500円)

【出席の連絡】 7月21日(土)までに、西村(nishimur@tachibana-u.ac.jp)までお願いします。

なお、終了後近くの店で懇親の会を予定しています。お気軽にご参加下さい。


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