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第32回関東支部例会のお知らせ [関東支部]

第32回関東支部例会を以下の要領で開催します。先ごろの第14回大会では「通訳における<概念化>をめぐって」と題したワークショップを行い、世界的にも通訳のプロセス研究が停滞していることを指摘し、通訳の概念化、内的表示と通訳プロセスといった通訳研究最先端のテーマを取り上げました。今回の例会は「通訳研究シンポジウム」として前回の議論をさらに展開していきたいと思います。通訳研究の方法や通訳の基礎研究に関心のある方はふるってご参加ください。

【日時】2013年12月8日(日)13:00~17:00
【場所】青山学院大学(渋谷キャンパス)総研ビル(14号館)第16会議室
*総研ビルは正門を入ってすぐ右側の建物です。
アクセスマップ
キャンパスマップ

通訳研究シンポジウム
【発表者】
染谷泰正 (関西大学)
船山仲他 (神戸市外国語大学)
水野 的 (青山学院大学)
【指定ディスカサント】調整中

【発表テーマおよび論点】
染谷泰正
要旨:オンラインで進行する通訳者の内部プロセスを、逐次通訳におけるノートテイキングのデータを手掛かりに説明するとともに、通訳訓練との関係を探る。
論点1:「<理解>は<概念化作用>である」という船山の主張は通訳に限らず自明の理であって、異論の余地はない。ただし、これは「<理解>は<脱言語化作用>である」ということとは異なる。
論点2:セレスコビッチのいう「脱言語化仮説」は(ある条件下で)部分的に起こる(ように見える)現象を一般化した誤りである。
論点3:データを見る限り、通訳者は、通訳モードにかかわらず原則としてテクストベースの情報処理(=浅い処理)をしている(=「脱言語化」は通訳におけるノームではない)
論点4:「浅い処理」と「深い処理」の違いは、関連性理論でいえば「表意」のレベルでの処理と「含意・推意」のレベルでの処理の違いと言い換えることができる。
論点5:通訳ノート (NT) は、SLが基底命題レベルでシステマチックに「縮小化」されたものであり、TLはこれを「拡張化」のプロセスを経てフルメッセージとして復元したものである。したがって、NTの研究とは、この「縮小化」と「拡張化」のプロセスを明らかにすることであり、NTの指導はその理解に裏づけられたものでなければならない。

船山仲他
要旨:概念化をベースに通訳作業の全体像をまとめる。
論点1:同時通訳は必ずしも命題単位で処理しているわけではない。
論点2:通訳者がしていることは「脱言語化」ではなく「脱形式化」である。
論点3:一般的なコミュニケーションにおける単言語の発話理解と通訳プロセスにおける起点発話理解は同質ではない。

水野 的
要旨:理解-産出の相互関係と同時通訳モデルのありかたを検討する。
論点1:同時通訳の言語処理はチャンクごとに漸進的に行われ、心的表示(命題、概念)を形成する途中で目標言語に変換して訳出が可能になるまで保持したり、あるいは目標言語に直ちに訳出してしまうこともある。
論点2:通訳では心的表示の形成をバイパスして語彙と統語形式の変換が行われる可能性がある。
論点3:概念構造と言語構造は乖離する。
論点4:言語理解、変換、産出はすべて作動記憶の制約を受ける。同時通訳の処理プロセスの説明にはBaddeleyやEricsson & Kintschの作動記憶理論ではなく、限定的な注意の焦点と検索メカニズムを備えたCowan, McElree, Oberauerらの作動記憶理論が適している。

【スケジュール】
1:00-3:00   1人30分ずつプレゼン+10分のQ&A 
3:00-3:30  指定ディスカサントのコメント(30分)
3:30-4:00    発表者のリアクション
4:00-5:00    フロアを交えての自由討論
(途中休憩を入れます。)

【参加費】 会員:無料  非会員:1,000円(学生500円)
【出席の連絡】 特に不要ですが、できれば12月6日(土)までに、水野(a-mizuno(a)fa2.so-net.ne.jp)までお願いします。((a)は@に直してください。)


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