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公開開ワークショップ 「談話分析」のお知らせ [研究法・論文執筆プロジェクト]

研究法・論文執筆プロジェクト主催の公開開ワークショップ「談話分析」が以下の要領で行われます。

コーディネーター 新崎隆子(東京外国語大学)
談話分析は通訳や翻訳の研究において、もっともよく使用される研究法のひとつである。このワークショップでは談話分析の基本的な原則を学び、データの集め方や分析の事例を通して実りある研究につなげる方法について検討する。さらに会員による談話分析を用いた研究事例の発表と専門家による講評を聞き、談話分析の応用可能性についての活発な意見交換を行う。
日時:2016年1月24日(日) 13時30分~16時30分 (13時受付開始)
場所:上智大学 4号館183号室 
参加費:無料(要予約)
参加申込:参加を希望される方は、氏名、住所、所属先、学会員・非学会員の別を明記の上、以下のいずれかにメールでお申し込みください。
申し込み受け付け担当: 渡部富栄 tomie_w@jcom.home.ne.jp
資料準備等のため1月18日までに申し込みをしてください。定員に達し次第、締め切らせていただきますので、早めのご予約をお勧めいたします。

プログラム
総合司会:新崎隆子(東京外国語大学)
1:30―1:35 開会 講師紹介と趣旨説明
1:35-3:00 講演 藤井洋子教授 
3:00-3:20 質疑応答
3:20-3:30 休憩
3:30-4:00 研究事例発表 田村智子会員
4:00-4:15 講評・質疑応答
4:15-4:30 総合討論

<講演>
談話分析の手法と比較言語文化研究の意義   藤井洋子
<概要>
 1980年代にアメリカで始まった談話分析は新たな方法でそれまでの言語研究に大きな変化をもたらせた。それまでの言語研究の主流は主に一文を単位とし、構造や意味の分析を中心に進められていたが、一文の境界を越えて、あるまとまりをもった談話という単位でことばをより大きな視点から見ていくことを目的として広まり、以来、談話分析の手法を用いて幅広い言語研究が行われている。本セミナーでは、談話の定義からデータの種類、文字化方法について概説し、研究目的に合ったデータにはどのようなものがあるのか、また、通訳のデータのようにすでにある談話から何が読み取れるのかを具体例を見ながら提示していく。その上で、近年取り組んでいる異言語・異文化比較のために収録されたコーパスデータによる比較言語文化研究を紹介する。同じ条件下で収集したデータを比較することは、それぞれの言語実践の特徴を明らかにするのみならず、そこに通底するメタ言語概念をも抽出することができる。またここでは更に、異なるそれらのメタ言語概念の根底に流れているそれぞれの言語母語話者のもつ自己観や現実世界の捉え方を追究し、それぞれの言語文化へのより深い理解のもとに相互理解を可能にする考察のあり方を提示したい。このようなアプローチによる成果が、通訳・翻訳に携わる専門家のみなさんの一助となれば幸いです。
[プロフィール]
日本女子大学文学研究科英文学専攻博士課程前期修了、米国オレゴン大学大学院言語学科修士課程修了。放送大学助教授、日本女子大学文学部英文学科助教授を経て、現在同学部同学科教授。日本英語学会評議員、社会言語科学会理事(2011〜2014年度)、Pragmatics 編集委員、タイ王国チュラロンコン大学言語教育センター発行学術雑誌 Pasaa Paritat 編集委員。主な論文に「日本語の語順の逆転について – 会話の中の情報の流れを中心に – 」(『日英語の右方移動構文 - その構造と機能- 』ひつじ書房)(1995), 「*骨をこわすvs. break the bone 認知カテゴリーと文法項目のタイポロジー 」(『社会言語科学講座 第1巻 異文化とコミュニケーション』ひつじ書房), “Differences of situating Self in the place/ba of interaction between the Japanese and American English speakers”, Journal of Pragmatics Vol. 44 (2012), 「課題達成談話における相互行為の言語文化比較」(『解放的語用論への挑戦−文化・インターアクション・言語』くろしお出版)(2014)などがある。

<研究事例発表>
通訳人を介した事情聴取伝聞問題と可視化:談話分析による『導管』の間接・直接検証
田村智子
<概要>
「伝聞排除」を伝統的大原則とするコモン・ロー諸国は、通訳人を介した事情聴取での供述の「証拠能力」担保に古くから試行錯誤してきた。米国は長年「dual agent(共同代理)」論を用い連邦証拠法801条(d)(2)(C)及び(D)の非伝聞条項を適用するとともに、20世紀後半からは「conduit(導管)」論も併用してきたが、2013年に第11管区が連邦控訴裁判所で初めて「通訳人を介した供述は伝聞」であり合衆国憲法が保障する「対審権」の侵害になるとし、当理論の疲弊も出始めている。一方、逮捕後の身体拘束を伴う事情聴取は英・豪・加では既に全面可視化されており、米国でも22州がすでに可視化をしている。DNA同様、録音・録画技術の導入で「通訳人伝聞」問題は今後大幅に解決し、通訳人は「検証可能な導管(正確・中立)」となるであろう。本研究は、その実証例として北米における通訳人を介した警察の事情聴取録音(録画)を刑事司法の各段階における参加者の視点から分析した。
1) 事情聴取段階における刑事と被疑者による間接的な「通訳人の導管性」検証(a. 各やり取りの起点である刑事発話の語用論的分析とやり取りcycleのパターン分析から当事者達による「通訳の正確性」の間接的把握はどの程度まで可能かを予測。b. 「導管」通訳人のrole shiftをGoffman(1981)の「animator, principal, & author」ツールで分析。c. 通訳人の発話と刑事・被疑者の総発話数、各起点言語発話と訳出された目標言語発話の長さの比較、発話開始までのポーズの長さ、等の量的分析)。2)裁判段階における鑑定人(expert witness)の立場からの同通訳内容の「正確性及び中立性」の検証と鑑定。3) 裁判段階における裁判官及び陪審員の立場からの同通訳内容の「正確性及び中立性」の判断基準、等。なお当研究で使用したELANという録画音声分析ソフトについても時間があれば言及したい。

[プロフィール]:早稲田大学大学院国際コミュニケーション研究科講師。東京外国語大学グローバル人材育成言語教育プログラム講師。亜細亜大学多文化コミュニケーション学科講師。上智大学公開学習センター講師。日米会話学院同時通訳科講師。アイ・エス・エス・インスティチュート講師。会議通訳及び通訳案内士。上智大学外国語学部英語学科卒業。ミシガン大学大学院言語学MA取得。現在ハーバード大学大学院ALM in Legal Studiesの学位論文「米国における通訳人を介した事情聴取の『伝聞』問題の法理論分析と言語学的分析」を作成中。専門は「日英同時通訳」の方法論と教授法。著書:「同時通訳が頭の中で一瞬でやっている英訳術リプロセシング」(三修社 2010)、「同時通訳が頭の中で一瞬でやっている英訳術リプロセシング」(三修社 2011)など。

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