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日本通訳翻訳学会関西支部第38回例会のお知らせ [関西支部]

日本通訳翻訳学会関西支部第38回例会を以下の要領で開催します。

【日時】2015328日(土)15:00-17:30
【場所】広島修道大学6号館6202教室

 大学へのアクセス
 
http://www.shudo-u.ac.jp/access.html
 キャンパスマップ
 
http://www.shudo-u.ac.jp/campus_map.html

【発表者】武部好子(就実大学)
【題目】西洋演劇の翻案における非言語的様相の可能性
【要旨】本発表では、西洋演劇の戯曲を翻案する際に、その非言語的要素が果たす効果と役割について検討する。テクスト上の起点言語を目標言語の舞台で効果的に翻案するには、俳優の声や表情、動き、沈黙、衣装、大道具、小道具、照明、音楽等の立体的な非言語的要素は重要な鍵を握る。Anton ChekhovおよびWilliam Shakespeareの翻案劇を中心に、Linda HutcheonによるA Theory of Adaptationにも触れながら、西洋演劇の非言語的様相を視聴覚的に翻案する事にどのような可能性があるのか探る。

 【発表者】辰己明子(たつみあきこ)(広島大学大学院教育学研究科博士課程後期)
【題目】大学英語教育における翻訳指導効果に関する研究
【要旨】本研究の目的は,大学1年生対象の一般英語授業 (2014年度後期) にて行った翻訳指導効果について検証することである。翻訳指導は,Tuesdays with Morrie を用いて全7回実施した。翻訳指導効果を検証するため,指導の事前・事後にて,受講生(35名)に対して翻訳課題(村上春樹の「かえるくん、東京を救う」の英訳Super-Flog
Saves Tokyo
)を実施した。事前・事後での受講生による翻訳プロダクトを石原(2009)により作成された翻訳プロダクト評価尺度,翻訳項目セットをい評価した。結果は,当日口頭にて発表する。
石原知英. (2009).「英文和訳の評価:分析的評価尺度の策定と検証的因子分析による妥当性の検討」『中国地区英語教育学会研究紀要』306170 


通訳教育国際コロキアムのお知らせ [関西支部]

関西支部は9月6日に関西大学大学院外国語教育学研究科、関西IT研、染谷科研 (No.24320112)と共催で国際コロキアムを開催することになりました(後援:日本コンベンションサービス株式会社)。詳細はこちらをご覧ください。

なお7月には例会を開催いたしませんので、こちらの国際コロキアムにどうぞふるってご参加ください。一般参加も可能です。多くの方々の来場をお待ちしています。

INTERNATIONAL COLLOQUIUM ON INTERPRETER EDUCATION
 2014Kansai University, Osaka
 Sept. 6 (Sat) 2014

 10:00-12:00 Notetaking Workshop 

Title: Introduction to the Matyssek Method of Notetaking 
Instructor: Annika HANSEN, Interpreter (German, English, Japanese), Institute for Translation and Interpreting, University of Heidelberg. 

 ※Language of instruction: English/Japanese Max. number of participants: 32 (advance registration needed) 

 12:20-13:20 Luncheon Meeting 

Guest Speaker: Tatsuya KOMATSU, Interpreter; Select Professor, Akita International University; Advisor, SimulInternational, Inc.

 Topic: Looking Back on the History of Interpreter Training in Japan since 1960 -- A  Personal Reflection(我が国における 60 年代以降の通訳教育の歴史を振り返る) 

13:40-15:50 Special Lectures 
Lecture 1: Semiology and Conceptual Schema in Consecutive Notes  (逐次通訳ノートにおける記号とスキーマ) 
Speaker: Dr. Cheng-Shu YANG, Director, Graduate Institute of Cross-Cultural Studies,  Fu Jen Catholic University, Taiwan. 

Lecture 2: Theory and Practice of Notetaking: Cognitive-Psychological Perspectives  (通訳ノートの理論と実技――認知・⼼理学的アプローチ) 
Speaker: Dr. Hiromi ITO, ESIT (École Supérieure d'Interprètes et de Traducteurs), the University of Sorbonne Nouvelle, ParisⅢ. 

16:00-17:00 Q&A and Mini Symposium 

Fee:\2,000(including lunch and tea)※Special rate available for students and JAITS members. 

Registration and Inquiry: Via Web form at http://someya-net.com/ICIE2014.html, or send email to Yasumasa 

Someya <someya@someya-net.com> or Tomomi Nishimura <nishimur@tachibana-u.ac.jp>. 

Organizers/Sponsors: Kansai Chapter of the Japan Association for Interpreting and Translation Studies; Graduate School of FLER, Kansai University; Kansai IT Research Initiative; JSPS Grant-in-Aid Project No.24320112 

Corporate sponsor: Japan Convention Services, Inc. 

Program Chair/Co-Chair: Yasumasa Someya (Kansai Univ.), Tomomi Nishimura (Kyoto Tachibana Univ.)

日本通訳翻訳学会関西支部第35回例会のお知らせ [関西支部]

日本通訳翻訳学会関西支部第35回例会を以下の要領で開催します。一般参加も可能ですのでふるってご参加ください。
(終了しました。)
【日時】 2014年3月22日(土)15:00~17:30
【場所】 西宮市大学交流センター(阪急西宮北口駅北改札口を出て右手、隣接の「ACTA西宮」東館6階)

発表1
【発表者】瀧本眞人(龍谷大学)
【題目】太平洋戦争時のオーストラリア軍における日本語教育プログラムとその参加者
【要旨】オーストラリア軍では、太平洋戦争の末期から終戦直後にかけ、日本語通訳者を養成する目的で、集中的な日本語教育が実施された。このプログラム参加者は、日本語コース修了後、占領軍の一員として来日し、日本語と英語のリエゾンとして活躍した。本発表では、この日本語集中プログラムについて概観するとともに、オーストラリア人の若い軍人が、終戦直後の日本でどのような役割を果たしたのかについても考察してみたい。プログラムに実際に参加した6名を対象にインタビューを実施済みで、彼らのプロフィールについても紹介する。

発表2
【発表者】ノーマン・アンガス(京都橘大学)
【題目】日本の近・現代詩―英訳の可能性について―
【要旨】本報告は、萩原朔太郎と中原中也を中心に日本の現代詩および近代詩の英訳の可能性について論じる。アメリカ20世紀の代表的な詩人である Robert Frost をはじめ、全般的に詩の翻訳の不可能性を訴える者は少なくない。まさに、語族や文化的背景がきわめて異なる日本語と英語の場合、日本の詩歌の翻訳は困難であるとよく指摘される。しかし、例えば Walter Benjamin のような積極的な翻訳論により、敢えて「言語の成長」を考えれば、散文の翻訳より詩の翻訳のほうが可能性や役割が大きいともいえる。翻訳者としては、Frost のような「母語主義」による否定的かつ消極的思考がもつ「弱さ」がむしろ「ばね」となり、詩の翻訳は「言語の成長」に大いに貢献できるという発想につながる。比較的「翻訳しやすい」朔太郎と「翻訳しにくい」中也を代表にし、さまざまな困難や可能性について論じる。

【参加費】会員:無料  非会員:1,000円(学生500円)
【出席の連絡】3月15日(土)までに、西村(nishimur(a)tachibana-u.ac.jp)までお願いします。((a)は@に直してください。)なお、終了後近くの店で懇親の会を予定しています。お気軽にご参加下さい。


第34回関西支部例会のお知らせ [関西支部]

第34回関西支部例会を以下の要領で開催します。

【日時】 2013年12月7日(土)15:00~17:30
【場所】 西宮市大学交流センター(阪急西宮北口駅北改札口を出て右手、隣接の「ACTA西宮」東館6階) 

発表1
【発表者】高橋絹子(上智大学短期大学部非常勤講師)
【題目】日本人大学生の英日逐次通訳は、どこでつまずくのか?
【要旨】通訳訓練生の通訳における問題のひとつとして、Omissionが挙げられることは先行研究でもすでに報告されている (Barik, 1971, 1975; Dillinger, 1994; Liu, Schallert & Carroll, 2004; Takahashi, 2009)Takahashi(2013) では、1年間の通訳訓練を受けた大学生を対象に通訳実験を行い、データを集めたところ、英日の逐次通訳で、だいたい2行からなるタスクの後半に行くほどOmissionSubstitutionが多くなり、正確な通訳の割合が低下すると報告している。実験の直後に各参加者に行ったインタビューによる回想では、参加者からは単語の音声認識と、英語と日本語の意味を結びつけるのに時間がかかり、後続部分を聞き逃すという意見が多かった。この現象が訳出に反映されていることになると考えられる。ではその際、一体、どこまで間に合い、どのあたりで、通訳がどのように破たんしていくのか、またそこには参加者間に何かしらの共通点があるのか、参加者の訳出データの質的分析を行うことによって、その原因の詳細を考察し、さらなる指導方法につなげたい。

 発表2
【発表者】武部好子(就実大学)
【題目】「翻訳と翻案の差異西洋演劇を通して」

【要旨】本発表では、西洋演劇における翻案劇について、特に非言語的要素に焦点を置き、起点言語における芸術的価値が目標言語ではどのように変容するか論じる。戯曲の言語記号を舞台空間で非言語記号体系を通して解する点について、Roman Jakobsonが認識している三種類の翻訳の第三番目となる記号間翻訳(intersemiotic translation)の側面から考察する。更に、翻案劇が、テクストとしての翻訳でなく、より立体的な翻訳プロセスであることを検証するために、Anthony Pymが言及している文化翻訳(cultural translation)についても触れる。

【参加費】 会員:無料  非会員:1,000円(学生500円)
【出席の連絡】 11月30日(土)までに、西村(nishimur(a)tachibana-u.ac.jp)までお願いします。((a)は@に直してください。)なお、終了後近くの店で懇親の会を予定しています。お気軽にご参加下さい。

関西支部第33回例会のお知らせ [関西支部]

日本通訳翻訳学会関西支部第33回例会を以下の要領で開催します。みなさま、ふるってご参加ください。

【日時】 2013年7月13日(土)15:00~17:30
【場所】 西宮市大学交流センター(阪急西宮北口駅北改札口を出て右手、隣接の「ACTA西宮」東館6階)

発表1
【発表者】石塚浩之 (神戸市外国語大学、京都橘大学 非常勤講師)
【題目】同時通訳における事象概念の漸進的構築と持続的活用
【要旨】本研究は Conceptual Complex (CC) モデル (e.g. Funayama 2007) を理論的準拠枠とし、通訳者の構築する概念の展開を跡づける。今回の発表では、CCモデルの通訳データ分析への応用に焦点をあて、英日同時通訳の訳出記録に基づき、CCモデルによる概念の展開の記述例を示す。
CCは、オンラインのディスコース処理において構築される概念の展開を明示するための記述装置であり、発話理解に関与する概念的処理のさまざまな側面を捉えることができる。本発表では、通訳者による事象の把握に議論の範囲を絞り、CCの骨格をなす構造がST処理の開始部分から漸進的に構築される様子を分析する。さらに同一通訳記録の下流部分の分析により、その事象が後続部分のディスコース処理において、いかに展開し、活用されているかを検討する。
一連の分析を通じ、CCの情報源の多様性、CCの内容における流動的性格を明示することにより、通訳作業の根底で持続的に実行される非言語レベルでの情報処理の一面に光を当てる。

発表2
【発表者】藤濤文子(神戸大学)
【題目】「翻訳研究事典の出版とその教育への応用」
【要旨】翻訳研究の進展に伴い、個別領域を扱う研究書が数多く出版される一方、概説書をはじめ学問領域全体を視野に入れた出版物も目立ってきた。本報告ではその中でも翻訳研究事典に焦点を絞ってその内容と傾向について検討したい。1998年刊行のRoutledge Encyclopedia of Translation Studies(M. Baker編)は概念項目と地域別伝統という2部構成になっているが、11年後に大幅改訂した第2版では、第I部の概念項目が3分の2以上入れ替わっており、この間の翻訳研究の変化を反映している。初版刊行以来、この事典を大学の授業で活用しつつ日本語訳を進めてきたが、このたび翻訳書出版の準備が具体化してきたため、この間の活動を振り返って総括したい。2010年以降次々と出版されているHandbook of Translation Studiesを冠した刊行物にも触れつつ、事典翻訳のスコポスと編集方針についても報告する。

【参加費】 会員:無料  非会員:1,000円(学生500円)
【出席の連絡】 7月6日(土)までに、西村(nishimur(a)tachibana-u.ac.jp)までお願いします。((a)は@に直してください。)なお、終了後近くの店で懇親の会を予定しています。お気軽にご参加下さい。

日本通訳翻訳学会関西支部第32回例会のお知らせ [関西支部]

日本通訳翻訳学会関西支部第32回例会のお知らせ
 

第32回例会を以下の要領で開催します。ふるってご参加ください。なお、いつもの会場とは異なりますので、お間違えのないようお越しください。

【日時】
2013年3月23日(土)15:00~17:30
【場所】神戸女学院大学 LAII-22(文学部2号館2MM教室)  

*会場へのアクセスはホームページをご覧下さい:
http://www.kobe-c.ac.jp/access.html
【ご注意】当日はオープンキャンパス実施中のため、開始時間の15時前後は車での正門からの入場はできません。タクシー等の場合は「西門」よりお入りください。なお、終了時刻にはそのような制限はございません。
キャンパスマップは以下のURLでご覧になれます。
http://kobe-college.jp/campuslife/campusmap.php

発表1
【発表者】尹永順(中国電子科技大学/神戸大学)
【題目】「盛京時報」と谷崎文学
【要旨】本発表は博士論文「中国における谷崎文学に関する研究-リライト理論の視点から-」の1部を構成するものである。従来の先行研究では、中国初の谷崎文学の翻訳は1928年に「小説月報」に発表された瀋端先訳『富美子の足』であるとされてきたが、筆者の調べでは、1924年に穆儒丐訳『麒麟』がすでに「盛京時報」に連載されていたことが判明した。「盛京時報」は1906年に日本人中島真雄が満州で創刊した中国語の新聞である。1924年に『麒麟』と『金と銀』が連載され、1939年から1940年にかけて『春琴抄』が連載されたが、この3作品はいずれも文芸欄「神皋雑俎」の編集を務めた穆儒丐によって翻訳された。満州、日本人の新聞、日本人の新聞社に務めた翻訳者など特殊な時代背景に関わったため、「盛京時報」に載せられた谷崎文学は殆ど注目されなかったと考えられる。本発表では、主に満州、「盛京時報」、穆儒丐に焦点を当てながら、谷崎文学が中国でどのように受け入れられたのかを考察する。

発表2
【発表者】石塚浩之
【題目】CCモデルの輪郭と通訳プロセス分析への応用
【要旨】Conceptual complexes (CC) は、発話理解における意味構築を明示化するための記述装置である。本発表は、CCモデルの概要とその通訳研究における可能性をできるだけわかりやすく紹介する。
  聞き手は、話し手の意図を、ある時点で一挙に捉えるのではなく、ディスコースの進展に応じ漸進的に把握する。通訳者による起点テクストの処理にも同じことが言える。概念は知覚不可能であり、人間の頭のなかに構築される概念の実態を観察する手段は乏しいが、同時通訳記録はこの概念の状態を推定するための貴重な実証的手がかりとなる。
  船山 (e.g. 2006, 2007, 2012) により提唱され深められてきたCCモデルは、通訳プロセス研究のためのグランドセオリーの礎となる可能性を秘めている。この理論の基本的輪郭はほぼ定まっていると考えられるが、体系的記述の試みはなされていない。
  本発表では、前半部分でCCモデルの解説を行い、後半部分で同時通訳記録の簡略な分析例を示す。最後に今後の研究の展望をまとめる。

【参加費】会員:無料  非会員:1,000円(学生500円)
【申込み】3月16日(土)までに西村(nishimur@tachibana-u.ac.jp)にご連絡ください。
なお、終了後近くの店で懇親の会を予定しています。お気軽にご参加下さい。



日本通訳翻訳学会関西支部第31回例会のお知らせ [関西支部]

第31回例会を以下の要領で開催します。ふるってご参加ください。
【日時】 2012年12月22日(土)15:00~17:30【場所】 西宮市大学交流センター(阪急西宮北口駅北改札口を出て右手、隣接の「ACTA西宮」東館6階)
 発表1
【発表者】森 清夏(2012年10月神戸女学院大学大学院修士課程修了)
【題目】日英翻訳:ネイティブレベルの英語に訳すための工夫―ある翻訳プロジェクトの報告―
【要旨】発表者は神戸女学院大学文学研究科修士号取得の必須単位の一環として翻訳プロジェクト(『ダウン症児の赤ちゃん体操―親子で楽しむふれあいケア』の出版を前提とした日英翻訳)に取り組んだ。出版翻訳に詳しい英語ネイティブスピーカーに発表者の英訳原稿を添削いただく中、日英翻訳特有の様々な問題点をどう解決するか、多くのヒントが浮かび上がってきた。本発表では、今回のプロジェクトの取り組みを紹介し、目標文化寄りの「英語母語話者にとって自然」な英訳にするためにはどのような発想の配慮が非母語話者である翻訳者にとって必要か、翻訳―チェックのプロセスを通して抽出した意識すべきポイントを発表者による原訳文とネイティブスピーカーの添削を照らし合わせながら考察したい。
発表2
【発表者】古川 典代(神戸松蔭女子学院大学)
【題目】中国における通訳事情と通訳トレーニングの実情
【要旨】2011年4月~2012年3月まで、北京に留学して通訳トレーニングの実情や学生のレベル、日中通訳の需給関係などの調査研究を行った結果をまとめて発表したい。日本で長年中国語通訳教育に携わった身にとっては驚愕の現状や、同時通訳者志望者の激増など、日本とは異なる成長をしている中国の通訳者市場を紹介・分析し、今後の日中間での通訳者の育成動向や課題をうきぼりにしたい。 

【参加費】会員:無料  非会員:1,000円(学生500円)
【申込み】12月15日(土)までに西村(nishimur@tachibana-u.ac.jp)にご連絡ください。
なお、終了後近くの店で懇親の会を予定しています。お気軽にご参加下さい。


日本通訳翻訳学会関西支部第30回例会のお知らせ [関西支部]

日本通訳翻訳学会関西支部第30回例会を以下の要領で開催します。皆様、ふるってご参加ください。 

【日時】 2012年7月28日(土)15:00~17:30

【場所】 西宮市大学交流センター(阪急西宮北口駅北改札口を出て右手、隣接の「ACTA西宮」東館6階) 

【発表者】孫若聖(神戸大学国際文化学研究科研究生)

【題目】モラエス『日本精神』の日本語訳に見るイデオロギーの影響

【要旨】内乱と不景気のポルトガルから、激変期の日本に来たモラエス(1854-1959)は、30年余り日本に住み、日本について数多くの作品をポルトガル語で出版した。そのうち、1925年の『日本精神』は彼の最後の著で、自らの日本人に対する研究のまとめである。『日本精神』は出版したのち、5回日本語に翻訳され、そのうちの4回をモラエスの知人である花野富蔵が翻訳している。本論は、花野が翻訳した最初の1935年版と、最後の1969年版を取り上げ、この中の第三章「宗教」(14ページ)、第四章「歴史」(10ページ)、第六章「種族生活」(12ページ)と第七章「国家生活」(8ページ)、あわせて44ページの内容を分析材料にして、イデオロギーがいかに翻訳に影響を与えるかという視座から、比較研究のケーススタディを試みる。比較分析の重心として、それぞれ異なるイデオロギー的背景において作成された二つのTTで、語彙表現上どのような変化と差異が見られるかという点に注目する 比較研究した結果、民主的なイデオロギーで訳された69版のTTにおいて、イデオロギーの影響を受けた語彙は戦前のファシズムのイデオロギーの下で産出されたTT分量的に劣らないことが判明した。これは、イデオロギーが絶対化した時期に、翻訳がイデオロギーから受ける影響はそうでない時期より深刻であるという一般的な認識への再検討を喚起することになるのではないか。 

【発表者】藤島京子(2012年3月神戸女学院大學大学院修士課程修了)

【題目】Enhancing communications capacities for UN peace operations 国連平和維持活動におけるコミュニケーションと現地通訳者をとりまく問題

【要旨】「近年の国連平和維持活動(peacekeeping operations: PKO)については、停戦監視など非介入的な任務が中心であった伝統的PKOとは異なり、PKO部隊による一般市民の保護や、生まれたばかりで脆弱な平和の安定化をめざす平和構築活動など、幅広い任務が期待されるようになっている。日本についても、ハイチ(MINUSTAH)に続き南スーダン(UNMISS)など、このような「積極的平和維持(robust peacekeeping)」への自衛隊の参加はここ数年増加傾向にある。このような新世代PKOの特徴は、一般市民やNGOを含む人道保護活動に従事する要員の保護任務のために限定的な武器の使用を有することと、紛争後の平和構築への「触媒的な」役割を担う“Multi-dimensional” な側面 を持つことである。アフリカなどで内戦が頻発する今日、今後も現地密着型のPKOが増えると考えられる。新世代PKOの登場により、PKO活動を支援する通訳の需要は飛躍的に拡大した。この一例として、現地住民とPKO要員の間で共通言語を持たない場合にコミュニケーションの欠かせぬ橋渡しとなる現地雇用の通訳者の役割を挙げることができよう。彼らはLanguage AssistantLA)とも呼ばれるが、通訳の専門的な訓練を受けていない場合がほとんどである。また、通訳者の問題のみならず、紛争下(後)に特有のさまざまな環境がコミュニケーションそのものの阻害要因となることもある。 国連の掲げる「保護する責任」および要員の安全確保を念頭においた効果的なコミュニケーションのためには、通訳者のスキル向上に加え、紛争地域を取り巻くさまざまな問題を考慮に入れた包括的な取り組みが必要となろう。 

【参加費】 会員:無料  非会員:1,000円(学生500円)

【出席の連絡】 7月21日(土)までに、西村(nishimur@tachibana-u.ac.jp)までお願いします。

なお、終了後近くの店で懇親の会を予定しています。お気軽にご参加下さい。


日本通訳翻訳学会関西支部第29回例会のお知らせ [関西支部]

日本通訳翻訳学会関西支部第29回例会を以下の要領で開催します。皆様、ふるってご参加ください。

【日時】 2012年3月24日(土)15:00~17:30
【場所】 西宮市大学交流センター(阪急西宮北口駅北改札口を出て右手、隣接の「ACTA西宮」東館6階)

【発表者】長澤小恵(神戸女学院大学大学院博士前期課程)

【題目】同時通訳の評価基準における通訳者とオーディエンスとのギャップ:オーディエンス志向の同時通訳のために

【要旨】国際会議やセミナーなどの現場で、オーディエンス志向の同時通訳をするには、オーディエンスやクライアントからのフィードバックが必要だと考えるが、実際には日本の場合、一部を除いて殆どフィードバックが当該通訳者に伝えられることはない。本研究では、海外での先行研究に基づき、日本人オーディエンスが英語から日本語への同時通訳をどう評価しているのかアンケート調査を行なった。同時にプロ通訳者にも同様の調査を行い、通訳者とオーディエンス、さらにオーディエンスの異なるグループ間での評価に対する意識の違いを考察した。又、どの程度のオーディエンスが同時通訳の聞きづらい体験をし、その理由はなんだったかについても触れたい。

【発表者】石原知英(愛知大学経営学部)
【題目】映画字幕作成演習クラスの実践―測定・評価・改善―
【要旨】本発表では、発表者が2011年度に実施した字幕作成演習クラスの報告と、その実践を通した学習者の (1) 英語・日本語の運用力の向上、(2) 字幕翻訳における制約と工夫の体験的理解について、その成果と課題を議論する。(1) について、全学で実施したTOEIC IP試験のスコアをもとに、当該学生とそれ以外の学生と比較した結果、有意な差は見られなかった。(2) について、授業評価アンケートと学期末レポートを基に記述した結果、複数回の推敲を通して、字幕翻訳の難しさや工夫についての体験的な理解が得られた一方で、よい訳についての認識が学生によって異なっていたことが明らかとなった。こうした結果を踏まえ、体系的な指導のためのノウハウの蓄積と、語学学習への橋渡しの必要性を今後の課題として指摘したい。

【参加費】 会員:無料  非会員:1,000円(学生500円)
【出席の連絡】 3月17日(土)までに、西村(nishimur@tachibana-u.ac.jp)までお願いします。
なお、終了後近くの店で懇親の会を予定しています。お気軽にご参加下さい。


==日本通訳翻訳学会関西支部第28回例会のお知らせ== [関西支部]

日本通訳翻訳学会関西支部第28回例会を以下の要領で開催します。
皆様、ふるってご参加ください。

[日時]  2011年12月3日(土)3:00~5:30
[場所]  西宮市大学交流センター(阪急西宮北口駅北改札口を出て右手、隣接のACTA西宮」東館6階)

[発表者]  尾谷美紀子(大阪大学非常勤講師)

[題目]  「中国語による医療通訳マニュアル作成の課題と展望」
[要旨]  ここ数年、日本国内でも外国人観光客を対象にした医療観光に関心が寄せられているが、現時点では検診が主流といえる。検診では安全面また他の日程に影響をきたさないよう、限られた時間内に合理的に安全に対応することが非常に重要である。そこで、通訳を配置しても検診の説明や注意事項、簡単な動作指示といった言語表現をあらかじめ設定したマニュアルを使用すれば、検診の合理化が可能になると考えられる。
そこで、本発表は201012月に南海電鉄が実施した中国人観光客を対象にした医療観光体験ツアーを事例に、検診を主体とした医療観光におけるマニュアルのひな型を提示し、医療観光における通訳の課題や問題点について検討するものである。

[発表者]  山本一晴(大阪大学大学院人間科学研究科博士後期課程)

[題目]  「地域のコミュニティで活動する通訳者及び翻訳者に関する現状と課題」
[要旨]  国際化施策の柱として多文化共生という新たな理念を総務省は掲げ、外国人を生活者として地域で共に生きていくためのプランを推進している。その一つに、日本語によるコミュニケーションが充分でない外国人住民を対象に、教育や医療の場を中心にして通訳や翻訳支援が図られている。情報の多言語化についてはこれまで情報の受け手を対象にした実態調査やニーズ調査が多くの自治体で実施され、また医療や司法分野を中心に倫理や制度という枠組みそのものについての議論もなされてきた。しかしながら、多言語情報の提供等支援する側の実務者、とりわけ通訳者や翻訳者に焦点を当てた調査研究はこれまであまりなされてこなかった。そこで、本発表では、質問紙調査法を用いた地域のコミュニティで活動する通訳者及び翻訳者に関する調査研究の成果を報告する予定である。なお、質問紙の内容は、回答者の属性、活動状況、労働環境、研修、役割、そして手法を中心とした項目から成り立っている。

[参加費] 会員:無料  非会員:1,000円(学生500円)
[出席の連絡] 11月26日(土)までに、西村(nishimur@tachibana-u.ac.jp)までお願いします。
なお、終了後近くの店で懇親の会を予定しています。お気軽にご参加下さい。


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